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イソトレチノイン治療と骨代謝・骨密度への影響に関する研究

  • 執筆者の写真: SC オンラインクリニック
    SC オンラインクリニック
  • 2月19日
  • 読了時間: 3分

更新日:4月11日


イソトレチノイン治療と骨代謝・骨密度への影響

イソトレチノイン治療と骨代謝への影響は?

イソトレチノイン(Isotretinoin)は、重症・難治性のニキビ治療に用いられる強力なレチノイド製剤ですが、その長期的な影響、骨密度(BMD)や骨代謝への影響については、しばしば議論の対象となります。

今回ご紹介するのは、2008年に発表された研究で、標準的なイソトレチノイン治療が骨密度や骨代謝マーカーに与える影響を評価したものです。(Bone mineral density and bone turnover markers in patients receiving a single course of isotretinoin for nodulocystic acne)

研究概要

対象者:

  • 患者群: 重症・難治性のニキビ患者36名(男性15名、女性21名)

  • 対照群: 健康な36名(男性16名、女性20名)

治療方法:

  • イソトレチノインを 4~6か月間、累積投与量120 mg/kg まで投与

評価項目:

  1. 骨密度(BMD)測定

    • 測定部位:腰椎および大腿骨

    • 測定方法:デュアルエネルギーX線吸収測定法(DXA)

  2. 骨代謝マーカーの測定

    • 血清カルシウム、リン、PTH(副甲状腺ホルモン)、ALP(アルカリホスファターゼ)

    • オステオカルシン、フリーデオキシピリジノリン

    • 尿中カルシウム

研究結果

  • 治療前の骨密度:

    • 患者群と対照群の間に有意差なし(P > 0.05)

  • 治療後の骨密度:

    • 腰椎および大腿骨のBMDに有意な変化なし(P > 0.05)

  • 骨代謝マーカー:

    • 患者群と対照群の間で有意な差なし(P > 0.05)

結論

標準的な量のイソトレチノイン治療(累積投与量120 mg/kg)は、骨密度や骨代謝に臨床的に有意な影響を及ぼさないことが示されました。この結果から、一般的な使用量においては、骨の健康に対する懸念は少ないと考えられます。

考察と今後の課題

  • 対象数が少ない、年齢による影響:

    • 本研究では対象者の数が36例ずつと少ないです

    • 骨密度の変化は年齢によって異なるため、思春期や成長期の患者に対する影響の検討が今後の課題となります。

  • 長期的な影響:

    • 4~6か月の短期間では影響がないと結論付けられていますが、長期間にわたる使用(特に再発患者への繰り返し治療)ではどのような影響があるのか、さらなる研究が求められます。

まとめ

ニキビ治療において、イソトレチノインは非常に効果的な治療法ですが、長期的な安全性については引き続き研究が必要です。本研究の結果からは、標準的な投与量において骨密度や骨代謝への悪影響は認められないことが示されました。

ニキビ治療を検討されている方や、イソトレチノインの副作用について気になる方は、ぜひSC オンラインクリニックのオンライン診療サービスをご利用ください。専門医による適切な診断と、安全性を考慮した治療プランをご提案いたします。

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