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リベルサスの副作用による吐き気

  • 執筆者の写真: SC オンラインクリニック
    SC オンラインクリニック
  • 4月14日
  • 読了時間: 5分

更新日:4月15日


リベルサス吐き気

セマグルチド(リベルサスの主成分)の副作用は、特に服用を開始した直後や、再開・増量したタイミングで現れやすいとされています。また、用量が増えるほど副作用の発現頻度も高くなる傾向があります。


報告されている副作用の多くは軽度であり、中でも最も多い副作用は「吐き気」です。



セマグルチドの作用は、大きく分けて2つあります。


1つ目は、ホルモンの働きによって血糖値を安定させる効果。

2つ目は、胃の運動を抑える作用です。



この2つ目の胃運動の抑制により、胃に内容物が長くとどまり、消化管内の圧が上昇することで、吐き気という副作用が生じるのです。



~リベルサスの副作用について~


■ 比較的よく見られる副作用(発現頻度:約5%以上)


以下のような症状は、比較的高い頻度で報告されています。


・吐き気(嘔気)

・嘔吐

・下痢

・胃の痛み(胃痛)

・便秘

・低血糖(特にインスリンを併用している場合に注意が必要)



■ 比較的まれな副作用(発現頻度:5%未満)


まれではありますが、以下のような症状が現れることもあります。


・消化不良

・ゲップ

・胃の不快感(胃酸の逆流を伴うむかつき)

・胃炎

・倦怠感(だるさ)

・味覚の変化

・めまい



■ 非常にまれ、または頻度不明の副作用


一部の副作用については頻度が明確にされていないものや、ごく稀に発生するものもあります。


・胆石(頻度は添付文書上「不明」)

・膵炎(発現頻度:約0.1%)



~リベルサスによる吐き気が続く期間について~


臨床試験のデータでは、吐き気を感じた人のうち実際に嘔吐まで至った人は10%未満と報告されています。ただ、実際に吐いてしまったり、それによって不安を感じたりする方も少なくありません。


「この吐き気がいつまで続くのか」と不安に思う方も多いですが、経験上、1〜3日以内に自然と吐き気が治まるケースが多く見られます。


服用を開始する際は、用量を急に増やさず、徐々に増やしていくことをおすすめします。これにより体が薬に慣れ、胃腸への刺激も穏やかになるため、副作用の程度が軽減される傾向があります。


そして、一定期間服用を継続すると、多くの方で吐き気や嘔吐といった症状は次第に改善していく傾向にあります。



~リベルサスによる吐き気への対処法~


  • 一時的な休薬、減薬


    リベルサスによる吐き気への対処法として、吐き気が生活に支障をきたす場合は一時的に服用を中止することが推奨されます。通常、1日休薬すれば効果成分がほぼ消失し、症状が改善されることが多いです。しかし、数日経過しても症状が改善しない場合、薬剤性腸管麻痺が疑われます。特にガスや便が全く出ない場合は、早急に医師に相談しましょう。併用薬にも注意が必要です。


  • 食生活を変える


    高繊維質や高脂肪の食べ物は消化を遅らせ、症状を悪化させることがあります。吐き気がひどい日には、消化に優しい柔らかい食事を摂ることをお勧めします。具体的には、豆腐やイモ類、ヨーグルト、ひき肉、魚などが適しています。


  • 水分を少し制限する


    通常、嘔吐がある場合は脱水症状を防ぐために水分摂取が推奨されます。しかし、セマグルチドによる吐き気は胃腸の運動を抑制することで消化管内圧が上昇し、それが副作用として現れるケースがあります。そのような状態で普段以上に水分を摂取すると、かえって吐き気が悪化するおそれがあります。


    特に、セマグルチド服用による吐き気に対しては、一般的な水分補給が効果的でないことが多く、むしろ逆効果となる場合もあります。


    そのため、耐えられないほどの吐き気があるときには、必要に応じて一時的に水分摂取を控えたり、吐き気止めを使用するなど、症状の悪化を防ぐ工夫が重要です。もちろん、脱水になる程、水分制限をすることはやめましょう。



~市販の胃薬や吐き気止めは効果があるのか?~


病院で処方されるプリンペランなどの胃腸運動改善薬は、症状の改善が期待できます。さらに、パントテン酸製剤やビタミンB5を含むビタミンB群製剤には、腸の動きを促進する作用があり、セマグルチドによって抑制された胃腸運動の回復に役立つ可能性があります。


一方、市販の胃薬には胃酸の分泌を抑える作用をもつものが多く含まれています。セマグルチドによって胃の運動が抑えられると、消化管内の圧が上昇し、胃酸が食道へ逆流することで、吐き気や嘔吐、またはゲップなどの症状が現れることがあります。


こうした市販薬は一時的な症状の緩和には効果があるかもしれませんが、胃腸内の圧を下げる直接的な作用はないため、根本的な解決にはつながらない場合があります。


まとめると、「いずれも効果が期待できる可能性はあるものの、効果には個人差があり、一概には言えない」というのが実情です。



~困ったときは、必ず医師に相談を~


吐き気が強く、日常生活や十分な食事の摂取が困難な場合は、無理をせず医師に相談しましょう。吐き気止めの使用や、薬の服用方法・投与量の見直しによって、症状が改善されることがあります。


特に、吐き気に加えて激しい腹痛や背部痛がある場合は注意が必要です。これらの症状は、膵炎・腸閉塞・胆嚢疾患などの重大な副作用の可能性を示していることがあります。そのような場合は、速やかに医師の診察を受けてください。

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